专利摘要:
本発明は、有機ポリマー用の難燃添加剤、および特に、ポリカーボネートもしくはポリエステルカーボネートにおける、および/またはポリカーボネートもしくはポリエステルカーボネートとアクリロニトリル、ブタジエンおよびスチレンターポリマーとのブレンド物における、ポリホスホネート型難燃添加剤に関する。本発明の芳香族ポリホスホネート化合物は構造(式中、aおよびbは各々0〜6であり、a+bは2〜6であり、各Rは独立に、水素、6個以下の炭素原子を有する非置換もしくは不活性に置換されたアルキル、−NO2、−NR12、−C≡N、OR1、−C(O)OR1、または−C(O)NR12(式中、R1はヒドロカルビルもしくは水素である)であり、各R2は独立に、水素、アルキルまたは不活性に置換されたアルキルであり、各R3は、共有結合または2価結合性基であり、そして各R4は独立に、アルキル基、アリール基、不活性に置換されたアルキル基または不活性に置換されたアリール基である)で表される。
公开号:JP2011510118A
申请号:JP2010542330
申请日:2009-01-08
公开日:2011-03-31
发明作者:アール. ウィルソン,デイビッド;エー. キング,ブルース;ビー. シャンカー,ラビ;アール. バラドワイ,アシュウィン
申请人:ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド;
IPC主号:C08L69-00
专利说明:

[0001] 本件は、米国仮出願第61/020,804号(2008年1月14日出願)の利益を主張する。]
[0002] 発明の分野
本発明は、有機ポリマー用の耐発火性添加剤、特に、ポリカーボネート(PC)もしくはポリエステルカーボネート(PEC)および/またはPCもしくはPECとアクリロニトリル、ブタジエン、およびスチレンターポリマー(ABS)とのブレンド物における耐発火性添加剤としてのポリホスホネート化合物に関する。]
背景技術

[0003] 発明の背景
種々のリン化合物が耐発火性(IR)添加剤として用いられてきた。これらとしては、有機ホスフェート、ホスホネートおよびホスホルアミドが挙げられ、これらの幾つかは、米国特許第4,070,336号;第4,086,205号;第4,255,324号;第4,268,459号;および第4,278,588号;ならびにNL第8004920号に記載されている。]
[0004] リン化合物の中でも、評価されてきたのは、構造:]
[0005] ]
[0006] (式中、各Raは水素またはメチルであり、Rbは水素、メチルまたはエチルであり、yは0〜2の整数であり、そしてホスホネート基は、互いにパラ位にあるメチレン基に付いている)に対応する特定のビス(環状ホスホネート)化合物である。米国特許第4,268,459号は、これらの化合物が、ポリプロピレンおよびポリ(エチレンテレフタレート)におけるIR添加剤として評価されたことを報告する。この特許によれば、15質量パーセントのこの種の化合物を含有するポリプロピレンは、ASTMD−635に従って評価したときに自己消火性である。該特許はさらに、10質量パーセントのこれらの化合物をポリ(エチレンテレフタレート)に添加することにより、その限界酸素指数が19.4から24.0に増大することを報告する。]
[0007] しかし、同様の結果は、これらのビス(環状ホスホネート)化合物を他のポリマー中で評価している場合には報告されていない。例えば、NL第8004920号は、同じ化合物の、ポリフェニレンオキサイドと耐衝撃性改質ポリスチレンとの50:50ブレンド物中での評価を報告する。NL第8004920号によれば、4〜6パーセントのビス(環状ホスホネート)化合物をこのブレンド物中に組み入れることにより、UL 94 Vertical Test Method 3.10−3.15で試験した場合に「不燃性」と格付けされる材料が与えられる。従って、ビス(環状ホスホネート)化合物の有効性は、開発中の特定のポリマー系に左右されると考えられる。]
[0008] 他のリン化合物の難燃特性もまた、これらを用いる有機ポリマー系に左右されると考えられる。例えば、米国特許第4,278,588号において、特定の酸化ホスフィン化合物が、V−0またはV−1評定(UL 94試験に従い)を、ポリフェニレンオキサイド/耐衝撃性改質ポリスチレンブレンド物中4〜6パーセントのレベルで与えることが報告されている。しかし、該特許は、20パーセントの高さのレベルは、耐衝撃性改質ポリスチレンのみ(ポリフェニレンオキサイドなし)にブレンドする場合には効果的でないことを報告する。]
課題を解決するための手段

[0009] 発明の要約
本発明は、一側面において、(i)芳香族ポリカーボネートまたは芳香族ポリエステルカーボネート、(ii)任意に、(ii.a)1種以上のビニルモノマーの(ii.b)ガラス転移温度(Tg)10℃未満の1種以上のグラフト骨格上のグラフトポリマー、(iii)任意に、少なくとも1種の熱可塑性ビニル(コ)ポリマー、(iv)構造:]
[0010] ]
[0011] (式中、aおよびbは各々0〜6であり、a+bは2〜6であり、各Rは独立に、水素、6個以下の炭素原子を有する非置換もしくは不活性に置換されたアルキル、−NO2、−NR12、−C≡N、OR1、−C(O)OR1、−C(O)R1、−C(O)H、または−C(O)NR12(式中、R1はヒドロカルビルもしくは水素である)であり、各R2は独立に、水素、アルキルまたは不活性に置換されたアルキルであり、各R3は、共有結合または2価結合性基であり、そして各R4は独立に、アルキル基、アリール基、不活性に置換されたアルキル基または不活性に置換されたアリール基である)で表される芳香族ポリホスホネート化合物、および(v)任意に、フッ素化ポリオレフィン、を含む耐発火性カーボネートポリマー組成物である。]
[0012] 本発明の好ましい態様において、芳香族ポリホスホネートは、構造:]
[0013] ]
[0014] (式中、cは、1〜5であり、各Rは独立に、水素、6個以下の炭素原子を有する非置換もしくは不活性に置換されたアルキル、−NO2、−NR12、−C≡N、OR1、−C(O)OR1、−C(O)R1、−C(O)H、または−C(O)NR12(式中、R1はヒドロカルビルもしくは水素である)であり、各R2は独立に、水素、アルキルまたは不活性に置換されたアルキルであり、そして各R3は、共有結合または2価結合性基である)で表される:好ましくは、各Rは、水素、または、4個以下の炭素原子を有する非置換アルキルであり;各R2は、水素であり;各R3は、隣接(R2)2C基に直接に結合している1つまたは複数の炭素原子上に水素を有さないアルキレンジラジカルであり;そしてcは、1〜3であり;そしてより好ましくは、各Rが水素であり;各R2が水素であり;そして各R3がジメチルメチレン(プロピリデン)である。]
[0015] 本発明の別の態様において、芳香族ポリホスホネートは、構造:]
[0016] ]
[0017] で表される。]
[0018] 本発明の別の態様において、芳香族ポリホスホネートは、構造:]
[0019] ]
[0020] で表される。]
[0021] 本発明の別の態様において、芳香族ポリホスホネートは、構造:]
[0022] ]
[0023] (式中、R、R2およびR3は上記で定義した通りである)
で表される。]
[0024] 本発明の別の態様において、芳香族ポリホスホネートは、構造:]
[0025] ]
[0026] で表される。]
[0027] 本発明の別の態様において、芳香族ポリホスホネートは、構造:]
[0028] ]
[0029] で表される。]
[0030] 本発明の別の態様において、芳香族ポリホスフェートは、構造:]
[0031] ]
[0032] (式中、RおよびR4は上記で定義した通りであり、そしてdは1〜5である)
で表される。]
[0033] 本発明の別の態様において、芳香族ポリホスフェートは、構造:]
[0034] ]
[0035] (式中、RおよびR4は上記で定義した通りである)
で表される。]
[0036] 更に好ましい態様においては:成分(ii)が、約0.5〜約60質量部の量で存在し、成分(iii)が、約2〜25質量部の量で存在し、成分(iv)が、約1〜20質量部の量で存在し、成分(v)が、約0.05〜3質量部の量で存在し、成分(ii):(iii)の質量比が、2:1〜1:4であり、グラフトベース(ii.b)がジエンゴム、アクリレートゴム、シリコーンゴム、またはエチレン−プロピレンジエンゴムであり、そして、耐発火性カーボネートポリマー組成物が、約1〜40質量部の、ガラスファイバー、ガラスビーズ、マイカ、シリケート、石英、タルク、二酸化チタン、もしくは珪灰石の単独または組合せの1種以上を更に含む。]
[0037] 更なる態様は、上述の耐発火性カーボネートポリマー組成物を製造する方法である。]
[0038] 本発明の更なる態様は、本発明の耐発火性カーボネートポリマー組成物の形成物品であり、好ましくは以下の製造プロセス:圧縮成形、射出成形、ガスアシスト射出成形、カレンダリング、真空成形、熱成形、押出しもしくはブロー成形の単独または組合せの1つ以上によって形成されるものである。]
実施例

[0039] 発明の詳細な説明
本発明の成分(i)は、熱可塑性芳香族ポリカーボネートおよび/または芳香族ポリエステルカーボネートである。本発明に係る好適な芳香族ポリカーボネートおよび/または芳香族ポリエステルカーボネートは、文献により公知であるか、または文献により公知の方法(例えば、芳香族ポリカーボネートの製造のためには、Schnell,“Chemistry and Physics of Polycarbonates”,Interscience Publishers,1964,更に米国特許第3,028,365号;第4,529,791号;および第4,677,162号(その全部を参照により本明細書に組入れる)を参照のこと)によって製造できる。好適な芳香族ポリエステルカーボネートは、米国特許第3,169,121号;第4,156,069号;および第4,260,731号(その全部を参照により本明細書に組入れる)に記載されている。]
[0040] 芳香族ポリカーボネートの製造は、例えば、ジフェノールを、炭酸ハライド(好ましくはホスゲン)および/または芳香族ジカルボン酸ジハライド(好ましくはベンゼンジカルボン酸ジハライド)と反応させることによって、界面法によって、任意に連鎖停止剤(例えばモノフェノール)を使用して、ならびに任意に3官能分岐剤または3より高い官能性を有する分岐剤(例えばトリフェノールまたはテトラフェノール)を使用して、行う。]
[0041] 芳香族ポリカーボネートおよび/または芳香族ポリエステルカーボネートを製造するためのジフェノールは、好ましくは式Iのものである:]
[0042] ]
[0043] (式中、Aは、単結合、C1−C5アルキレン、C2−C5アルキリデン、C5−C6シクロアルキリデン、−O−、−SO−、−CO−、−S−、−SO2−、またはC6−C12アリーレン(その上に他の芳香環(任意にヘテロ原子を有する)が縮合できる)、または式IIもしくはIIIのラジカルである)]
[0044] ]
[0045] (Bは各場合において独立に、水素、C1−C12アルキル、好ましくはメチル、またはハロゲン、好ましくは塩素および/もしくは臭素であり;
xは各場合において互いに独立に、0,1または2であり;
pは、0または1であり;
RcおよびRdは互いに独立に、そして、個別に、各X1について選択でき、そして水素またはC1−C6アルキル、好ましくは水素、メチルまたはエチルであり;
X1は、炭素を示し;そして
mは、4〜7の整数、好ましくは4または5を示し、但しRcおよびRdは同時に、少なくとも1つのX1原子上のアルキルを示す)]
[0046] 好ましいジフェノールは、ハイドロキノン、レゾルシノール、ジヒドロキシビフェニル、ビス(ヒドロキシフェニル)−C1−C5アルカン、ビス(ヒドロキシフェニル)−C5−C6シクロアルカン、ビス(ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホンおよびアルファ,アルファ’−ビス(ヒドロキシフェニル)ジイソプロピルベンゼン、更にその誘導体(臭素化および/または塩素化されている核を有するもの)である。]
[0047] 特に好ましいジフェノールは、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ビスフェノールA、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、4,4−ジヒドロキシジフェニルスルフィドおよび4,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン、更にそのジ−およびテトラ臭素化または塩素化誘導体、例えば2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパンまたは2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパンである。2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)は特に好ましい。ジフェノールは、個別にまたは任意選択の混合物として使用できる。ジフェノールは、文献によって公知であるか、または文献によって公知の方法により得ることができる。]
[0048] 芳香族ポリカーボネートの製造のための好適な連鎖停止剤の例としては、フェノール、p−クロロフェノール、p−tert−ブチルフェノール、または2,4,6−トリブロモフェノール、更に、長鎖アルキルフェノール,例えば4−(1,3−ジメチル−ブチル)−フェノールまたはモノアルキルフェノールもしくはジアルキルフェノール(そのアルキル置換基中に全部で8〜20C原子を含有するもの)(例えば3,5−ジ−tert−ブチル−フェノール、p−iso−オクチルフェノール、p−tert−オクチルフェノール、p−ドデシルフェノール、2−(3,5−ジメチルヘプチル)−フェノールおよび4−(3,5−ジメチルヘプチル)−フェノールが挙げられる。使用する連鎖停止剤の量は、一般的に0.1モルパーセント〜10モルパーセント(各場合において使用するジフェノールのモル合計に対し)である。]
[0049] 本発明の芳香族ポリカーボネートおよび/または芳香族ポリエステルカーボネートは、好ましくはミーン重量平均分子量が約10,000〜約200,000、好ましくは約20,000〜約80,000である。特記がない限り、芳香族ポリカーボネートおよび/または芳香族ポリエステルカーボネート「分子量」の言及は、本明細書において、レーザー散乱法を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による、ビスフェノールAポリカーボネート標準での重量平均分子量(Mw)を意味し、そしてグラム毎モル(g/モル)単位で与えられる。]
[0050] 芳香族ポリカーボネートは、公知の様式で、例えば0.05〜2.0モルパーセント(使用するジフェノールの合計に対し)の3官能化合物または3よりも高い官能性を有する化合物(例えば、3つ以上のフェノール性基を含有するもの)の組み込みによって、分岐できる。本発明のために好適な分岐したポリカーボネートは、公知の方法で調製でき、例えば幾つかの好適な方法は、米国特許第3,028,365号;第4,529,791号;および第4,677,162号(その全部を参照により本明細書に組入れる)に開示されている。]
[0051] 使用できる好適な分岐剤は、3−または多−官能カルボン酸クロリド,例えば、トリメシン酸トリクロリド、シアヌル酸トリクロリド、3,3’−,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸テトラクロリド、1,4,5,8−ナフタレン−テトラカルボン酸テトラクロリドまたはピロメリット酸テトラクロリド等の、0.01〜1.0モルパーセント(使用するジカルボン酸ジクロリドに対し)の量であり、または、3−または多−官能フェノール,例えばフロログルシノール、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−2−ヘプテン、4,4−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)−フェニル−メタン、2,2−ビス[4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル]−プロパン、2,4−ビス[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]フェノール、テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)−メタン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)プロパン、またはテトラキス(4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]−フェノキシ)−メタンの、0.01〜10モルパーセント(使用するジフェノールに対し)の量である。フェノール性分岐剤は、反応容器内に、ジフェノールとともに入れることができる。酸クロリド分岐剤は、酸クロリドと一緒に導入できる。]
[0052] ホモポリカーボネートおよびコポリカーボネートの両者が好適である。本発明に係る成分(i)のコポリカーボネートの製造のために、1〜25質量パーセント、好ましくは2.5〜25質量パーセント(使用すべきジフェノールの総量に対し)の、ヒドロキシ−アリールオキシ末端基を含むポリジオルガノシロキサンもまた使用できる。これらは公知であり(例えば米国特許第3,419,634号を参照のこと)または文献によって公知である方法によって製造できる。]
[0053] ビスフェノールAホモポリカーボネートとは別に、好ましいポリカーボネートは、15モルパーセント以下(ジフェノールのモル合計に対し)の他のジフェノールを有するビスフェノールAのコポリカーボネートであり、好ましいまたは特に好ましいものとして挙げられ、特には2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−プロパンである。]
[0054] 芳香族ポリエステルカーボネートの製造のための好ましい芳香族ジカルボン酸ジハライドは、イソフタル酸、テレフタル酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸およびナフタレン−2,6−ジカルボン酸の二塩基酸ジクロリドである。イソフタル酸およびテレフタル酸の二塩基酸ジクロリドの、比1:20〜20:1の混合物は、特に好ましい。炭酸ハライド、好ましくはホスゲンは、2官能酸誘導体として、ポリエステルカーボネートの製造中に併用する。]
[0055] 上記モノフェノールとは別に、芳香族ポリエステルカーボネートの製造のために好適な連鎖停止剤としては、そのクロロカルボン酸エステル、更に芳香族モノカルボン酸の酸クロリドが挙げられ、これは任意にC1−C22アルキル基によって、またはハロゲン原子によって置換されていてもよく、そして脂肪族C2−C22モノカルボン酸クロリドも挙げられる。連鎖停止剤の量は、各場合において0.1〜10モルパーセント(フェノール性連鎖停止剤の場合にはジフェノールのモルに対し、そしてモノカルボン酸クロリド連鎖停止剤の場合にはジカルボン酸ジクロリドのモルに対し)である。]
[0056] 芳香族ポリエステルカーボネートはまた、組み入れられたヒドロキシカルボン酸を含有できる。芳香族ポリエステルカーボネートは、直鎖または分岐のいずれでもよい。好適な分岐剤は上記で開示している。]
[0057] 芳香族ポリエステルカーボネート中のカーボネート構造単位の割合は任意に変えることができる。カーボネート基の量は、好ましくは100モルパーセント以下であり、特に80モルパーセント以下であり、最も好ましくは50モルパーセント以下(エステル基およびカーボネート基の合計に対し)である。芳香族ポリエステルカーボネートのエステル分およびカーボネート分の両者は、ブロック形状で存在でき、または縮合ポリマー中にランダムに分布していることができる。]
[0058] 芳香族ポリカーボネートおよび芳香族ポリエステルカーボネートの相対溶液粘度(ηrel)は、1.18〜1.4の範囲、好ましくは1.22〜1.3の範囲(それぞれ0.5gのポリカーボネートおよびポリエステルカーボネートの溶液で、100mLの塩化メチレン中25℃で測定した場合)である。]
[0059] 芳香族ポリカーボネートおよび芳香族ポリエステルカーボネートは、個別に、または互いに任意の混合物中で使用できる。]
[0060] 熱可塑性芳香族ポリカーボネートおよび/または芳香族ポリエステルカーボネート(i)は、約40質量部以上、好ましくは約50質量部以上、およびより好ましくは約60質量部以上(耐発火性カーボネートポリマー組成物の質量基準)の量で存在する。熱可塑性芳香族ポリカーボネートおよび/または芳香族ポリエステルカーボネート(i)は、約99質量部以下、好ましくは約95質量部以上、より好ましくは約90質量部以上、より好ましくは約85質量部以下、およびより好ましくは約80質量部以下(耐発火性カーボネートポリマー組成物の質量基準)の量で存在する。特記がない限り、質量部は、耐発火性カーボネートポリマー組成物の総質量基準である。]
[0061] 本発明の成分(ii)は、(ii.a)5〜95質量パーセント、好ましくは30〜80質量パーセントの、1種以上のビニルモノマーの、(ii.b)95〜5質量パーセント、好ましくは70〜20質量パーセントの、ガラス転移温度10℃未満、好ましくは0℃未満、好ましくは約−10℃未満、およびより好ましくは−20℃未満の1種以上のグラフト骨格上の1種以上のグラフトコポリマーである。グラフト骨格(ii.b)は、一般的に、平均粒子サイズ(D43,値)0.10〜5ミクロンを有する。]
[0062] モノマー(ii.a)は、好ましくは、
(ii.a.1) 50〜99質量部の芳香族ビニル化合物および/または置換された核を有する芳香族ビニル化合物(例えばスチレン、アルファ−メチルスチレン、p−メチルスチレンまたはp−クロロスチレン等)および/または(メタ)アクリル酸のC1−C4アルキルエステル(例えばメチルメタクリレートまたはエチルメタクリレート等)、ならびに
(ii.a.2) 1〜50質量部のビニルシアニド(不飽和ニトリル,例えばアクリロニトリルおよびメタクリロニトリル)および/または(メタ)アクリル酸のC1−C4アルキルエステル(例えばメチルメタクリレート、n−ブチルアクリレートおよびt−ブチルアクリレート等)および/または不飽和カルボン酸の誘導体(例えば無水物およびイミド等)(例えば無水マレイン酸およびN−フェニルマレイミド)
の混合物である。]
[0063] 好ましいモノマー(ii.a.1)は、スチレン、アルファ−メチルスチレンおよびメチルメタクリレートのモノマーの少なくとも1つから選択される。好ましいモノマー(ii.a.2)は、アクリロニトリル、無水マレイン酸およびメチルメタクリレートのモノマーの少なくとも1つから選択される。特に好ましいモノマーは、(ii.a.1)としてのスチレンおよび(ii.a.2)としてのアクリロニトリルである。]
[0064] グラフトポリマー(ii)のために好適なグラフト骨格(ii.b)の例としては、ジエンゴム、エチレン/プロピレンおよび任意にジエン(EP(D)M)ゴム、アクリレート、ポリウレタン、シリコーン、クロロプレンおよびエチレン/酢酸ビニルゴムが挙げられる。]
[0065] 好ましいグラフト骨格(ii.b)は、ジエンゴム(例えばブタジエン、イソプレン等を基にするもの)またはジエンゴムの混合物もしくはジエンゴムのコポリマーもしくはこれらと他の共重合可能なモノマー(例えば、(ii.a.1)および(ii.a.2)に係る)との混合物であり、ガラス転移温度が約10℃未満であることを条件とし、好ましくは約0℃未満、好ましくは約−10℃未満、およびより好ましくは約−20℃未満である。純粋なポリブタジエンゴムは特に好ましい。特に好ましいグラフトポリマー(ii)は、アクリロニトリル、ブタジエン、およびスチレンターポリマー(ABS)である。]
[0066] グラフトコポリマー(ii)は、ラジカル重合によって,例えば乳化重合、懸濁重合、溶液重合またはバルク重合によって製造する。バルクの例としては、塊状−溶液重合、または塊状−懸濁重合があり、これらは一般的に塊状重合法として公知である。米国特許第3,660,535号;第3,243,481号;および第4,239,863号(参照により本明細書に組入れる)を参照のこと。好適なABSポリマーは、有機ヒドロペルオキシドおよびアスコルビン酸を含む開始剤系でレドックス開始によって製造できる(米国特許第4,937,285号(参照により本明細書に組入れる)に従って)。本発明の耐発火性カーボネートポリマー組成物の所望の最終特性(例えば、衝撃強度、溶接線強度、光沢、引張特性、曲げ特性等)に応じ、乳化重合したグラフトポリマーが好ましい場合があり、または塊状重合したグラフトポリマーが好ましい場合があり、または乳化重合および塊状重合したグラフトポリマーの混合物が好ましい場合がある。]
[0067] ポリマー(ii)の(ii.b)に係る好適なアクリレートゴムは、好ましくは、アクリル酸アルキルエステルのポリマーであり、任意に40質量パーセント以下((ii.b)に対し)の他の重合可能なエチレン性不飽和モノマーを伴う。好ましい重合可能なアクリル酸エステルとしては、C1−C8アルキルエステル,例えばメチル、エチル、ブチル、n−オクチルおよび2−エチルヘキシルエステル:ハロゲノアルキルエステル、好ましくはハロゲノ−C1−C8−アルキルエステル,例えばクロロエチルアクリレート、更にこれらのモノマーの混合物、が挙げられる。]
[0068] 1つより多い重合性二重結合を有するモノマーを共重合して架橋を与えることができる。架橋モノマーの好ましい例は、3〜8個のC原子を含有する不飽和モノカルボン酸と、3〜12個のC原子を含有する不飽和一価アルコール、または2〜4のOH基および2〜20個のC原子を含有する飽和ポリオールとのエステル,例えばエチレングリコールジメタクリレートまたはアリルメタクリレート等;多重不飽和へテロ環化合物(例えばトリビニルおよびトリアリルシアヌレート等);多官能ビニル化合物(例えばジ−およびトリビニルベンゼン);ならびにまたトリアリルホスフェートおよびジアリルフタレート;である。]
[0069] 好ましい架橋モノマーは、アリルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジアリルフタレートおよびヘテロ環化合物(少なくとも3つのエチレン性不飽和基を含有するもの)である。特に好ましい架橋モノマーは、環状モノマートリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアクリロイルヘキサヒドロ−s−トリアジンおよびトリアリルベンゼンである。架橋したモノマーの量は、好ましくは0.02〜5質量パーセント、特に0.05〜2質量パーセント(グラフトベース(ii.b)に対し)である。少なくとも3つのエチレン性不飽和基を含有する環状架橋モノマーのために、その量をグラフトベース(ii.b)の1質量パーセント未満に制限するのが有利である。]
[0070] 好ましい「他の」重合可能なエチレン性不飽和モノマー(これは、グラフトベース(ii.b)の製造のためにアクリル酸エステルとは別に任意に採用できる)の例としては、アクリロニトリル、スチレン、アルファ−メチルスチレン、アクリルアミド、ビニル−C1−C6−アルキルエーテル、メチルメタクリレートおよびブタジエンが挙げられる。グラフト骨格(ii.b)として好ましいアクリレートゴムは、ゲル含有量少なくとも20質量パーセント、好ましくは40質量パーセント、より好ましくは60質量パーセントを有するエマルションポリマーである。]
[0071] (ii.b)に係る好適な他のグラフト骨格は、グラフト活性部位を有するシリコーンゴムである。]
[0072] 公知であるように、グラフトモノマー(ii.a)は、グラフト反応中、グラフト骨格(ii.b)上に完全にはグラフト化されないため、グラフトポリマー(ii)はまた、本発明に従い、グラフトベースの存在下でグラフトモノマーの(共)重合によって得られるような、そしてプロセス中に併せて生じるような、生成物(すなわち、グラフトモノマー(ii.a)の重合による(コ)ポリマー)を含むことを理解すべきである。]
[0073] 特記がない限り、平均グラフトベース粒子サイズは、体積計量のミーン粒子径(D43)(透過型電子顕微鏡(TEM)画像を分析することによって評価される)である。例えば、米国特許第6,380,303号および第6,306,962号(参照により本明細書に組入れる)を参照のこと。典型的には、粒子が1ミクロンよりも大きい場合に断面厚みの較正をする。]
[0074] グラフト骨格(ii.b)の平均粒径は、約0.05ミクロン以上、好ましくは約0.1ミクロン以上、より好ましくは約0.15ミクロン以上、より好ましくは約0.2ミクロン以上、および更により好ましくは約0.25ミクロン以上である。グラフト骨格(ii.b)の平均粒径は、約5ミクロン以下、好ましくは約2ミクロン以下、より好ましくは約1.5ミクロン以下、より好ましくは約1ミクロン以下、より好ましくは約0.6ミクロン以下、より好ましくは約0.5ミクロン以下、より好ましくは約0.4ミクロン以下、より好ましくは約3.5ミクロン以下、および更により好ましくは約0.3ミクロン以下である。]
[0075] 本発明のゴム変性ポリマーは、広い単峰型粒子サイズ分布または多峰型粒子サイズ分布(例えば二峰型粒子サイズ分布)の両者を有することができる。いずれの場合においても、ゴム成分は、1種のゴムまたはゴムのブレンド物を含むことができる。特に、1種より多いゴムを、単峰型または二峰型のプロセスにおいて使用できる。二峰型ゴム粒子サイズ分布は、粒子サイズ 対体積分率の軸でグラフにした場合に粒子の2つの区別されるピークを有することとして規定され、これにより一方のピークがより小さい粒子を規定し、そして他方のピークがより大きい粒子を規定する。]
[0076] 典型的には、二峰型の粒子サイズ分布において、より大きい粒子画分は、体積平均粒子サイズ約0.5ミクロン、好ましくは約0.6ミクロン、より好ましくは約0.7ミクロン、および最も好ましくは約0.8ミクロンから、約3ミクロン、好ましくは約2.5ミクロン、より好ましくは約2ミクロン、および最も好ましくは約1.5ミクロンまでを有することになる。典型的には、より小さい粒子画分は、体積平均粒子サイズ約0.075ミクロン、好ましくは約0.1ミクロンから、0.3ミクロン、好ましくは約0.25ミクロン、およびより好ましくは約0.2ミクロンまでを有することになる。]
[0077] グラフトベース(iii.b)のゲル含有量は25℃で好適な溶媒中で評価できる。グラフトベース(ii.b)を生成したエマルションのゲル含有量は、少なくとも20質量パーセント、好ましくは少なくとも30質量パーセント、より好ましくは少なくとも40質量パーセント、更により好ましくは少なくとも50質量パーセント、および最も好ましくは少なくとも60質量パーセント(トルエン中の測定で)である。]
[0078] 存在する場合、グラフトポリマー(ii)は、約0.5質量部以上、好ましくは約1質量部以上、より好ましくは約2質量部以上、より好ましくは約5質量部以上、およびより好ましくは約10質量部以上(耐発火性カーボネートポリマー組成物質量基準)の量で存在する。存在する場合、グラフトポリマー(ii)は、約60質量部以下、好ましくは約50質量部以下、より好ましくは約40質量部以下、より好ましくは約30質量部以下、およびより好ましくは約25質量部以下(耐発火性カーボネートポリマー組成物の質量基準)の量で存在する。]
[0079] 本発明の成分(iii)は、1種以上の熱可塑性ビニル(コ)ポリマーを含む。成分(iii)として好適なポリマーは、芳香族ビニル化合物、ビニルシアニド(不飽和亜硝酸化合物)、(メタ)アクリル酸(C1−C8)アルキルエステル、不飽和カルボン酸、更に、不飽和カルボン酸の誘導体(例えば無水物およびイミド)を含む群からの少なくとも1種のモノマーのポリマーである。]
[0080] 特に好適な(コ)ポリマーは、(iii.a)の、50〜99質量部、好ましくは60〜80質量部の量の、芳香族ビニル化合物および/または置換された核を含む芳香族ビニル化合物(例えばスチレン、アルファ−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、および/またはメタクリル酸(C1−C4)−アルキルエステル(例えばメチルメタクリレートまたはエチルメタクリレート)、ならびに、(iii.b)の、1〜50質量部、好ましくは20〜40質量部の量の、ビニルシアニド(不飽和亜硝酸化合物)(例えばアクリロニトリルおよびメタクリロニトリル)および/または(メタ)アクリル酸(C1−C8)エステル(例えばメチルメタクリレート、n−ブチルアクリレートまたはt−ブチルアクリレート)および/または不飽和カルボン酸(例えばマレイン酸)および/または不飽和カルボン酸の誘導体(例えば無水物およびイミド)(例えば無水マレイン酸およびN−フェニル−マレイミド)である。]
[0081] (iii.a)スチレンと(iii.b)アクリロニトリル(SAN)とのコポリマーは特に好ましい。]
[0082] (コ)ポリマー(iii)は、熱可塑性およびゴム不含有である。(iii)に係る(コ)ポリマーは公知であり、そしてラジカル重合によって、特に乳化重合、懸濁重合、溶液重合またはバルク(塊状)重合によって製造できる。成分(iii)に係る(コ)ポリマーは、好ましくは分子量Mw(レーザー散乱法および狭分子量ポリスチレン標準を用いてGPCによって評価したときの重量平均)が、15,000〜200,000である。]
[0083] 成分(iii)に係る(コ)ポリマーは、しばしば、成分(ii)のグラフト重合中の副生成物として、特に、大量のモノマー(ii.a)が小量のゴム(ii.b)上にグラフトする場合に、生成する。(iii)の量(これもまた本発明に従って任意に使用できる)は、(ii)のグラフト重合のこれらの副生成物を含まない。]
[0084] 成分(iii)が、本発明に係る耐発火性カーボネートポリマー組成物中に存在する場合、成分(ii):(iii)の質量比は、望ましくは、2:1〜1:4であることができ、好ましくは1:1〜1:2である。]
[0085] 存在する場合、熱可塑性ビニル(コ)ポリマー(iii)は、約0.5質量部以上、好ましくは約1質量部以上、より好ましくは約2質量部以上、より好ましくは約5質量部以上、およびより好ましくは約10質量部以上(耐発火性カーボネートポリマー組成物の質量基準)の量で存在する。存在する場合、熱可塑性ビニル(コ)ポリマー(iii)は、約45質量部以下、好ましくは約40質量部以下、より好ましくは約35質量部以下、より好ましくは約30質量部以下、およびより好ましくは約25質量部以下(耐発火性カーボネートポリマー組成物の質量基準)の量で存在する。]
[0086] 本発明の成分(iv)は、構造IV:]
[0087] ]
[0088] (式中、aおよびbは各々0〜6であり、a+bは2〜6であり、各Rは独立に、水素、6個以下の炭素原子を有する非置換もしくは不活性に置換されたアルキル、−NO2、−NR12、−C≡N、OR1、−C(O)OR1、または−C(O)NR12(式中、R1はヒドロカルビルもしくは水素である)であり、各R2は独立に、水素、アルキルまたは不活性に置換されたアルキルであり、各R3は、共有結合または2価結合性基,例えば二置換メチレン:]
[0089] ]
[0090] であり、各R5は独立に、水素、アルキル基、アリール基、不活性に置換されたアルキル基または不活性に置換されたアリール基であり、そして各R4は独立に、アルキル基、アリール基、不活性に置換されたアルキル基または不活性に置換されたアリール基である)
を有する芳香族ポリホスホネートである。]
[0091] bがゼロである態様において、芳香族ポリホスホネートは、構造VI:]
[0092] ]
[0093] (式中、cは、1〜5であり、そしてR、R2およびR3は先に定義した通りである)
で表され、cは好ましくは1〜3であり、そして最も好ましくは1である。cが1である場合、芳香族ポリホスホネートは、下記構造VII:]
[0094] ]
[0095] (式中、R、R2およびR3は前記の通りである)
で表される。構造VIIにおいて、メチレンホスホネート基は、互いにパラ、メタまたはオルトであることができる。]
[0096] 構造IV〜VIIの各々において、各Rは、好ましくは、水素、または、4個以下の炭素原子を有する非置換アルキルである。各Rは、より好ましくは水素またはメチルである。各Rは、最も好ましくは水素である。各R2は、好ましくは水素であり、そして各R3は、好ましくは、隣接(R2)2C基に直接に結合している1つまたは複数の炭素原子上に水素を有さないアルキレンジラジカルであり、R3は、より好ましくはジアルキル置換されたメチレンおよび最も好ましくはジメチルメチレン(プロピリデン)である。]
[0097] 好ましいポリホスホネートとしては、構造VIIIおよびIX:]
[0098] ]
[0099] ]
[0100] を有するものが挙げられる。]
[0101] bがゼロである別の態様において、各R2は、水素であり、そして各R3は二置換メチレンであり、芳香族ポリホスホネートは、下記構造X:]
[0102] ]
[0103] (式中、RおよびR5は先に定義した通りであり、そしてcは1〜5であり、好ましくは1〜3であり、そして最も好ましくは2または3である)
で表される。構造Xにおいて、メチレンホスホネート基は、互いにパラ、メタまたはオルトであることができる。]
[0104] 好ましいポリホスホネートとしては、構造XIおよびXII:]
[0105] ]
[0106] を有するものが挙げられる。]
[0107] 構造IV中のaがゼロである態様において、芳香族ポリホスホネートは、構造XIII:]
[0108] ]
[0109] (dは、1〜5であり、そしてRおよびR4は先に定義した通りであり、dは、好ましくは1〜3であり、そして最も好ましくは1である)
で表される。dが1である場合、芳香族ポリホスホネートは、下記構造XIV:]
[0110] ]
[0111] (式中、RおよびR4は先に定義した通りである)
で表される。構造XIVにおいて、メチレンホスホネート基は、互いにパラ、メタまたはオルトであることができる。]
[0112] 構造XIIIおよびXIVにおいて、Rは、好ましくは水素、または、4個以下の炭素原子を有する非置換アルキルであり、最も好ましくは水素である。構造IV、XIIIおよびXIVにおいて、R4は好ましくはC1〜C4アルキル、フェニルまたはベンジルである。]
[0113] ポリホスホネートに関して本明細書で用いる場合の用語「不活性に置換された」は、置換基が、化合物の難燃特性を不所望に阻害しないか、または5パーセント重量損失温度を不所望に低下させないものであることを意味する。不活性置換基は、例えば酸素含有基(例えばエーテル、エステル、カルボニル、ヒドロキシル、カルボン酸、オキシラン基等)であることができる。不活性置換基は、窒素含有基(例えば1級、2級または3級のアミン基、イミン基、ニトリル基、またはニトロ基)であることができる。不活性置換基は、窒素および酸素を含有する基(例えばアミド基)であることができる。不活性置換基は、他のヘテロ原子,例えば硫黄、リン、ケイ素(例えばシラン基またはシロキサン基)等を含有できる。不活性置換基は、好ましくはハロゲンではない。]
[0114] ポリホスホネートは、種々の手法,例えば米国特許第4,268,459号に記載されるもので調製できる。簡便な手法は、対応する環状ホスファイトのアルキルエステルをハロメチル置換ベンゼン化合物と反応させることである。この反応は、「アルブーゾフ(Arbuzov)」反応ということもあり、そして例えばCA.47:9900(以下参照)に記載されている。このような反応は、構造XVおよびXVI:]
[0115] ]
[0116] (式中、c、d、R、R2、R3およびR4は先に説明した通りであり、R6は、アルキル基で好ましくはメチル、エチル、またはイソプロピルであり、そして各Xは、ハロゲンで好ましくは塩素または臭素である)
において概略的に示される。構造XVおよびXVIにおいて示される反応において、ハロメチル置換ベンゼン化合物は、好ましくは、1,4−ビス(ハロメチル)ベンゼン、1,3−ビス(ハロメチル)ベンゼン、1,2−ビス(ハロメチルベンゼン)または1,4−ビス(ハロメチル)−2,5−ジメチルベンゼンである。]
[0117] 構造XVにおいて示す反応において使用する環状ホスホン酸エステル出発物質は、PCl3をジオール(例えば1,3−プロピレングリコールまたは好ましくはネオペンチルグリコール)およびR6OHに対応するアルコールと反応させることによって調製できる。出発物質を調製するこの様式は、McConnellら,J.Org.Chem.Vol.24,pp.630−635(1959)によって、更に米国特許第4,268,459号(参照により本明細書に組入れる)に、記載されている。]
[0118] 本発明のポリホスホネートの形成のための代替の経路は、第1に、トリアルキルホスファイトをハロメチル置換ベンゼン化合物と反応させて中間エステルを形成すること、および次いで、中間エステルを、一方ではジオール(例えば1,3−プロピレングリコールまたは好ましくはネオペンチルグリコール)と反応させて環状ホスホネート基を形成し、および/またはR4OH形のモノアルコールと反応させて非環状ホスホネート基を形成することによる。繰り返すが、ハロメチル置換ベンゼン化合物は、好ましくは、1,4−ビス(ハロメチル)ベンゼン、1,3−ビス(ハロメチル)ベンゼン、1,2−ビス(ハロメチルベンゼン)または1,4−ビス(ハロメチル)−2,5−ジメチルベンゼンである。このような反応スキームは、環状ホスホネート基の形成に関して、米国特許第4,268,459号(参照により本明細書に組入れる)に記載されている。]
[0119] 第3の経路は、ホスホン酸のジアルキルエステルを形成し、エステルをアルカリ金属水素化物と反応させて、対応するアルカリ金属塩(好ましくはナトリウム塩またはカリウム塩)を形成し、そして次いで、得られるアルカリ金属塩をハロメチル置換ベンゼン化合物と反応させることを含む。先のように、ビス(ハロメチル)置換ベンゼン化合物は、好ましくは、1,4−ビス(ハロメチル)ベンゼン、1,3−ビス(ハロメチル)ベンゼン、1,2−ビス(ハロメチルベンゼン)または1,4−ビス(ハロメチル)−2,5−ジメチルベンゼンである。この反応スキームは、環状ホスホネート基の形成に関し、米国特許第4,268,459号(参照により本明細書に組入れる)に記載されている。]
[0120] 芳香族ホスホネート化合物(iv)は、約0.5質量部以上、好ましくは約1質量部以上、より好ましくは約2質量部以上、より好ましくは約5質量部以上、およびより好ましくは約10質量部以上(耐発火性カーボネートポリマー組成物の質量基準)の量で存在する。芳香族ホスホネート化合物(iv)は、約40質量部以下、好ましくは約35質量部以下、より好ましくは約25質量部以下、より好ましくは約20質量部以下、およびより好ましくは約15質量部以下(耐発火性カーボネートポリマー組成物の質量基準)の量で存在する。]
[0121] フッ素化ポリオレフィンを成分(v)として添加できる。このようなポリマーは、しばしば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)またはTEFLONTM(登録商標)という。好適なフッ素化ポリオレフィン(v)は、フィブリル構造を形成してポリマー組成物がドリップする傾向を低減するのに適合しているものである。これらは典型的には高分子量を有し、そしてガラス転移温度が−30℃よりも高く、一般的には100℃よりも高く;フッ素含有量は好ましくは65〜76質量パーセント、特に70〜76質量パーセントであり;平均粒径が0.05ミクロン〜1000ミクロンであり、好ましくは0.08ミクロン〜20ミクロンである。フッ素化ポリオレフィン(v)は、一般的に、密度1.2〜2.3g/cm3を有する。好ましいフッ素化ポリオレフィン(v)は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレンおよびエチレン/テトラフルオロエチレンコポリマーである。]
[0122] フッ素化ポリオレフィンは公知である(Vinyl&Related Polymers、Schildknecht,John Wiley&Sons Inc.,New York,1962,pp.484−494より;Fluoropolymers、Wall,Wiley−Interscience,John Wiley&Sons Inc.,New York,volume 13,1970,pp.623−654より;Modern Plastics Encyclopedia,1970−1971,volume 47,no.10 A,October 1970,McGraw−Hill Inc.,New York,pp.134および774;Modern Plastics Encyclopedia,1975−1976,October 1975,volume 52,no.10A,McGraw−Hill Inc.,New York,pp.27,28および472、ならびに米国特許第3,005,795号;第3,671,487号;第3,723,373号;第3,838,092号および第4,463,130号(参照により本明細書に組入れる)を参照のこと)。]
[0123] これらは公知の方法を用いて、よって例えばテトラフルオロエチレンを水性媒体中でフリーラジカル形成性触媒,例えばペルオキシ二硫酸ナトリウム、カリウムまたはアンモニウムと、圧力7〜71kg/cm2および温度0〜200℃で、好ましくは温度20〜100℃で重合することによって、製造できる(例えば、更に詳細には米国特許第2,393,967号を参照のこと)。これらを使用する形状に応じ、これらの物質の密度は、1.2〜2.3g/cm3であることができ、平均粒子サイズは、0.5ミクロン〜1000ミクロンであることができる。]
[0124] 本発明に係る好ましいフッ素化ポリオレフィン(v)は、平均粒径0.05ミクロン〜20ミクロン、好ましくは0.08ミクロン〜10ミクロン、および密度1.2〜1.9g/cm3を有するテトラフルオロエチレンポリマーである。1つの望ましい形は、テトラフルオロエチレンポリマー(v)のエマルションと、グラフトポリマー(ii)のエマルションとの凝固混合物としてである。好適なテトラフルオロエチレンポリマーエマルションは、従来の市販製品であり、そして、例えばDuPontによりTEFLON(登録商標) 30Nとして販売用に提供されている。]
[0125] フッ素化ポリオレフィン(v)の別の好適な形は、平均粒径100ミクロン〜1000ミクロンおよび密度2.0〜2.3g/cm3を有する粉末テトラフルオロエチレンポリマーとしてであり、そして例えばDuPont社によって、例えばグレードTEFLON(登録商標) 6C,60,6CN,64,65および67で、そしてDyneon GmbH(Burgkirchen,Germany)によって、商品名HOSTAFLONTMPTFEで、販売用に提供されている。]
[0126] 存在する場合、フッ素化ポリオレフィン(v)は、約0.01質量部以上、好ましくは約0.05質量部以上、より好ましくは約0.1質量部以上、およびより好ましくは約0.5質量部以上(耐発火性カーボネートポリマー組成物の質量基準)の量で存在する。存在する場合、フッ素化ポリオレフィン(v)は、約5質量部以下、好ましくは約4質量部以下、より好ましくは約3質量部以下、およびより好ましくは約2質量部以下(耐発火性カーボネートポリマー組成物の質量基準)の量で存在する。好ましくは、フッ素化ポリオレフィンは、0〜約3質量部(耐発火性カーボネートポリマー組成物の質量基準)で存在する。]
[0127] 本発明に係る耐発火性カーボネートポリマー組成物は、従来の添加剤,例えば潤滑剤および型離型剤(例えばペンタエリスリトールテトラステアレート)、成核剤、帯電防止剤、安定剤、フィラーおよび補強物質、更には染料および顔料、の少なくとも1種を含有できる。]
[0128] 本発明の耐発火性カーボネートポリマー組成物は、フィラーおよび/または補強物質を更に含むことができる。好ましいフィラー(これは補強作用も有することができる)は、ガラス繊維、ガラスビーズ、マイカ、シリケート、石英、タルク、二酸化チタン、および/または珪灰石の単独または組合せである。]
[0129] 存在する場合、フィラーおよび/または補強物質は、約0.5質量部以上、好ましくは約1質量部以上、より好ましくは約2質量部以上、より好ましくは約5質量部以上、およびより好ましくは約10質量部以上(耐発火性カーボネートポリマー組成物の質量基準)の量で存在する。存在する場合、フィラーおよび/または補強物質は、約60質量部以下、好ましくは約40質量部以下、より好ましくは約30質量部以下、より好ましくは約25質量部以下、およびより好ましくは約20質量部以下(耐発火性カーボネートポリマー組成物の質量基準)の量で存在する。]
[0130] 本発明に係る耐発火性カーボネートポリマー組成物は、耐発火性カーボネートポリマー組成物全体に対して35質量パーセント以下の、更なる任意に相乗的な難燃剤を含有できる。言及できる更なる難燃剤の例は、有機ハロゲン化合物(例えばデカブロモビスフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノール)、無機ハロゲン化合物(例えば臭化アンモニウム)、窒素化合物(例えばメラミン、メラミン/ホルムアルデヒドレジン)、無機水酸化物化合物(例えば水酸化Mg,水酸化Al)、無機化合物(例えば酸化アンチモン、メタホウ酸バリウム、ヒドロキソアンチモネート、酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、酸化モリブデン、モリブデン酸アンモニウム、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アンモニウム、メタホウ酸バリウム、タルク、シリケート、酸化ケイ素、および酸化スズ、更にシロキサン化合物である。モノホスフェート化合物、オリゴマー性ホスフェート化合物またはこれらの混合物を、追加的に難燃剤として使用できる。このようなリン化合物は、米国特許第5,061,745号;第6,596,794号;第6,727,301号;第6,753,366号;およびRe36,188号(これらは全て参照により本明細書に組入れる)に記載されている。]
[0131] (i)および(iii)および任意に(ii)、(iv)、(v)、安定剤、染料、顔料、潤滑剤、および型離型剤、成核剤、更に帯電防止剤、フィラーおよび補強物質を含む耐発火性カーボネートポリマー組成物は、特定構成成分を公知の様式で混合し、そしてこれらを温度200℃〜300℃で従来のユニット(例えば内部ニーダー、押出機および二軸押出機)内で溶融コンパウンドおよび/または溶融押出しすることによって製造する。ここで、成分(v)は、好ましくは、粉末として、または上記の凝固混合物の形状で使用する。]
[0132] 個別の構成成分を公知の様式で逐次および同時の両者で、そして約23℃(室温)およびより高温の両者で混合できる。]
[0133] 従って、本発明はまた、耐発火性カーボネートポリマー組成物の製造方法を提供する。]
[0134] これらの優れた耐発火性,特に短い燃焼時間、ならびに良好な機械的特性および高耐熱性という長所により、本発明に係る耐発火性カーボネートポリマー組成物は、任意の種類の物品,特に、機械的特性に関して厳しい要求を受けるものの製造のために好適である。]
[0135] 本発明の耐発火性カーボネートポリマー組成物は、熱可塑性である。熱の適用によって軟化または溶融したときに、本発明の耐発火性カーボネートポリマー組成物は、従来の技術(例えば圧縮成形、射出成形、ガスアシスト射出成形、カレンダリング、真空成形、熱成形、押出および/またはブロー成形、の単独または組合せ)を用いて、物品に形成され、または成形されることができる。耐発火性ポリマー組成物はまた、フィルム、繊維、多層積層体に形成、紡糸もしくはドローでき、またはシートおよび/またはプロファイルに押出しできる。製造できる形成物品の例は:あらゆる種類の筐体、例えば家庭用(例えばジューサー、コーヒーマシーン、フードミキサー用)、オフィス設備用(例えばモニター、プリンター、コピー機または建築区域用の被覆シートおよび自動車部品)のものである。これらはまた、電気工学用途においても使用できる。これらは極めて良好な電気特性を有するからである。]
[0136] 本発明に係る耐発火性カーボネートポリマー組成物は、更に、例えば、以下の形成物品または成形物品;鉄道車両用の内装品、内装および外装の自動車用途、小型変圧器を収容する電気装置用の筐体、情報流布および伝達装置用の筐体、医療目的用の筐体および被覆、マッサージ装置およびその筐体、子供用のおもちゃの乗り物、シート壁要素、安全設備用の筐体、ハッチバックスポイラー、断熱輸送コンテナ、小動物の飼育または世話のための装置、衛生用およびバスルーム据付用の物品、換気口用のグリルカバー、サマーハウスおよび小屋用の物品、ならびに庭用途用の筐体、を製造するために使用できる。好ましい製造物品としては、器具筐体,例えば動力工具、家電、家庭用電気設備(例えばTV、VCR、ウエブ家電、電子書籍等)、または情報技術設備(例えば電話、コンピュータ、モニター、ファックス機、バッテリー充電器、スキャナー、コピー機、プリンター、携帯用コンピュータ、フラットスクリーンディスプレイ等)のためのものが挙げられる。]
[0137] 本発明は、従って、本発明に係る耐発火性カーボネートポリマー組成物の、あらゆる種類の物品(好ましくは上記したもの)を製造するための使用、および本発明に係る耐発火性カーボネートポリマー組成物から形成される物品も提供する。]
[0138] 例
本発明の実施を示すために、好ましい態様の例を以下に記載する。しかし、これらの例はいかなる様式でも本発明の範囲を限定するものではない。]
[0139] 以下のポリホスホネートを、例1〜3においてPC/ABSブレンド組成物中で使用するために調製する。]
[0140] 「PP−1」は、ポリホスホネート2,2’−[1,3−フェニレンビス(メチレン)]ビス[5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサホスホリナン]2,2’−ジオキサイドである。PP−1は、(ネオペンチル)イソプロピルホスファイト(20.110グラム(g)、104.6mmol、α,α’−ジブロモ−m−キシレン(13.152g,49.83mmol)と40ミリリットル(mL)のキシレンとをSchlenkフラスコ(ジャケットVigreuxカラムおよび温度計を有する蒸留ヘッドを備える)内で組合せることによって調製する。系をエバキュエートし、窒素下で置き、そして反応フラスコを、150℃に加熱したワックス浴中に置く。数分以内に、蒸留物が極めて急速に集まり始め、そして固体が形成され始める。フラスコを浴から取出し、そして蒸留物を反応フラスコに戻す。フラスコを高温ワックス浴内に入れ直して、フラスコの数ミリメートルのみが加熱されるようにする。2−ブロモプロパンがゆっくり留去される。浴を雰囲気温度まで冷やす。形成された固体塊をろ過し、20mLのキシレンで洗浄し、20mLのヘキサンで洗浄し、そして乾燥させて、生成物の2,2’−[1,3−フェニレンビス(メチレン)]ビス[5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサホスホリナン]2,2’−ジオキサイドを、粉末と結晶塊との混合物として得る。収量は、11.781g、58.75パーセントである。生成物のプロトン、13Cおよび31PNMRスペクトルは、以下の特徴を示す:
1H NMR(299.99MHz,CDCl3, vsTMS)δ:7.2−7.3(m,4H),4.16(d of d,4H,J=11.0Hz,J=7.8Hz),3.72(d of d,4H,J=14.2Hz,J=11.2Hz),3.26(d,4H,J=22.0Hz),0.96(s,6H),0.86(s,6H)
13C NMR(75.44MHz,CDCl3, vs TMS)δ:131.37(t,J=6.4Hz),131.25(t,J=6.4Hz),128.91(t,J=3.4Hz),128.69(t.J=5.0Hz),75.31(インバートt,J=3.4Hz),33.36,32.49(インバート t,J=3.0Hz),31.57,21.41,21.31
31P NMR(121.44MHz,CDCl3, vs H3PO4)δ:22.18]
[0141] 2,2’−[1,3−フェニレンビス(メチレン)]ビス[5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサホスホリナン]2,2’−ジオキサイドは、下記構造:]
[0142] ]
[0143] を有する。]
[0144] 「PP−2」は、ポリホスホネート2,2’,2”−[(2,4,6−トリメチル−1,3,5−ベンゼントリイル)トリス(メチレン)]トリス[5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサホスホリナン]2,2’,2”−トリオキサイドである。これは、ネオペンチルイソプロピルホスファイト(14.745g,76.72mmol)、1,3,5−(ブロモメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼン(トリブロモメシチレン(6.05g,15.16mmol)および40mLのキシレンを、100mLの1口フラスコ(撹拌棒、ならびに、ジャケットVigreuxカラムおよび温度計を有する蒸留ヘッドを備える)内で組合せることにより調製する。トリブロモメシチレンは、ホスファイト/キシレン混合物中で多くは溶解しなかった。系をエバキュレートし、窒素下で置き、そして反応フラスコを、ワックス浴温度の約110℃まで徐々に加熱し、その時間の間にトリブロモメシチレンは溶解し、そしてその温度範囲で約1〜2時間、i−Pr−Brの蒸留下で保持し、そして大量の白色固体が形成される。]
[0145] ワックス浴を3時間、より多くの白色固体の形成下(現れる固体の量がより多くなる)で約150℃まで加熱する。温度を約170℃に2時間上げ、次いで反応混合物を雰囲気温度まで冷やす。スラリーをろ過する。固体を、各回約35mLのキシレンで2回洗浄し、各回約35mLのヘキサンで2回洗浄し、そして減圧下で乾燥させて無色結晶生成物を得る。収量は7.6124g,82.76パーセントである。NMRスペクトルは、極めて高い純度を示す。生成物のプロトン、13Cおよび31PNMRスペクトルは、以下の特徴を示す:
1HNMR(299.985MHz,CDC13, vsTMS)δ:4.15(d of d,6H,J=10.9Hz,J=6.5Hz),3.64(d of d,6H,J=15.4Hz,J=11.2Hz),3.48(d,6H,J=22.7Hz),2.45(d,9H,J=2.0Hz),0.94(s,9H),0.93(s,9H)
13CNMR(75.438MHz,CDCl3, vs CDCl3)δ:135.84(pseudo q,J=5.4Hz,J=6.0Hz),127.09(pseudo q,J=5.4Hz,J=7.4Hz),74.84(d,J=6.0Hz),32.35(d,J=5.4Hz),28.75(d,J=136.2),21.36,21.15,18.01(d,J=1.3Hz)
31PNMR(121.436MHz,CDCl3, vs H3PO4)δ:23.70]
[0146] 2,2’,2”−[(2,4,6−トリメチル−1,3,5−ベンゼントリイル)トリス(メチレン)]トリス[5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサホスホリナン]2,2’,2”−トリオキサイドは、下記構造:]
[0147] ]
[0148] を有する。]
[0149] 「PP−3」は、ポリホスホネート2,2',2'',2'''−[(1,2,4,5−ベンゼンテトライル)テトラキス(メチレン)テトラキス[5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサホスホリナン]2,2',2'',2'''−四酸化物である。PP−3は、ネオペンチルイソプロピルホスファイト(27.021g,140.59mmol)、1,2,4,5−テトラ(ブロモメチル)ベンゼン(10.540g,23.43mmol)および40mLのキシレンを、100mLの1口フラスコ(撹拌棒、ならびに、ジャケットVigreuxカラムおよび温度計を有する蒸留ヘッドを備える)内で組合せることにより調製する。系をエバキュレートし、窒素下で置き、そして反応フラスコを、ワックス浴温度の約110℃まで徐々に加熱し、そしてほぼその温度で約1〜2時間、i−Pr−Brの蒸留下で保持し、そして大量の白色固体が形成される。ワックス浴を約160℃に4時間加熱する。温度を約190℃に更に2時間上げ、次いで反応混合物を環境温度まで冷やす。スラリーをろ過する。固体を、約35mLのキシレンで2回洗浄し、約35mLのヘキサンで2回洗浄し、そして減圧下で乾燥させて、生成物を白色粉末として得る。収量は16.45g,96.6パーセントであった。化合物はメタノール中に可溶であり、DMSO中に若干可溶であり、そしてクロロホルム中には極めて少しだけ可溶であるが、アセトン中、水中、トルエン中およびヘキサン中では不溶と思われる。]
[0150] ES-MSは、生成物が約90パーセントの所望のテトラホスホネート([MNa+]=749.2)および約10パーセントのブロモトリホスホネート([MNa+]=681.1)の混合物であることを示す。]
[0151] 白色粉末は、フラスコ内で2当量(9.2g)のネオペンチルイソプロピルホスファイトおよび約30mLのキシレンと組合せる。反応混合物を、約1.5日間約150℃で、次いで3日間180℃で、次いで1日間190℃で、加熱する。反応混合物を冷却し、次いでろ過し、50mLのキシレンで2回、50mLのトルエンで3回、50mLのヘプタンで2回、そして50mLのヘキサンで3回、洗浄し、そして吸引ろ過下で乾燥させる。白色粉末の収量は15.599g,91.62パーセントである。2,2',2'',2'''−[(1,2,4,5−ベンゼンテトライル)テトラキス(メチレン)テトラキス[5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサホスホリナン]2,2',2'',2'''−四酸化物は、下記構造:]
[0152] ]
[0153] を有する。]
[0154] 例1〜3の組成物を、Haake Rheocord 90 Mixer(50立方センチメートル(cc)容量の混合チャンバー(標準「Roller Type」混合ブレードを有する)が取付けられている)内で溶融コンパウンドする。約100ccの各配合物を形成する。]
[0155] 成分(i),(ii),(iii)および成分(v)を含むポリマーマスターバッチ(該成分の溶融ブレンドによって形成されるもの)を使用した。ポリマーマスターバッチを、第1の容器に計り入れ、そしてポリホスホネート(成分(iv))を、第2の容器に計り入れる。Haake Rheocord Mixerの溶融ヒーターを235℃に設定し、そして混合ブレード速度を60回転毎分(rpm)に設定する。Haake Rheocord制御プログラムを開始させた後、ポリマーマスターバッチの体積の約1/3を混合ボウルに添加して溶融させる。トルクが降下および安定した時点で、ポリホスホネートの約1/3を溶融物に添加する。小量の残りのポリマーマスターバッチおよびポリホスホネートを、全ての含有成分が混合ボウル内に入るまで交互に添加する。混合チャンバー内への成分の添加を2〜3分以内に完了させ、そして混合を更に16〜18分間続ける。]
[0156] Underwriters’ Laboratories 94(UL 94)燃焼試験体をWatson−Stillmanプランジャー型射出成形機(Watson− 1, K 1802)で、以下のパラメータ:溶融物温度:250℃;型温度;60℃;および射出圧(Injection Hydraulic Pressure):1500ポンド毎平方インチ(psi)で射出成形する。]
[0157] 例1〜3の配合量およびUL94燃焼性能を表1に示す。量は質量部単位である。表1において:]
[0158] 「PC」は、ビスフェノール−Aポリカーボネートホモポリマーであり、メルトフロー23を有し、そしてCALIBRETM 300−22としてDow Chemical Companyから市販で入手可能である。]
[0159] 「mABS」は、塊状重合されたアクリロニトリル、ブタジエンおよびスチレンのターポリマーであり、約15パーセントのアクリロニトリル、12パーセントのブタジエンゴムを有し、そして平均ゴム粒子サイズ(Dv)は、コールターカウンターによって評価したときに1.2ミクロンである;
「eABS」は、乳化重合されたアクリロニトリル、ブタジエンおよびスチレンのターポリマーであり、約12パーセントのアクリロニトリルおよび48パーセントのブタジエンゴムを有する;
「PP−1」は、ポリホスホネート2,2’−[1,3−フェニレンビス(メチレン)]ビス[5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサホスホリナン]2,2’−ジオキサイドであり、上記のように調製されるものである(構造VIII);
「PP−2」は、2,2’,2”−[(2,4,6−トリメチル−1,3,5−ベンゼントリイル)トリス(メチレン)]トリス[5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサホスホリナン]2,2’,2”−トリオキサイドであり、上記のように調製されるものである(構造XI);
「PP−3」は、2,2',2'',2'''−[(1,2,4,5−ベンゼンテトライル)テトラキス(メチレン)]テトラキス[5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサホスホリナン]2,2',2'',2'''−四酸化物であり、上記のように調製されるものである(構造XII);
「PTFE」は、フィブリル形成性ポリテトラフルオロエチレンポリマー粉末(DuPont Chemical Companyより名称ALGOFLONTMDF210で入手可能)である。]
[0160] 「UL−94」燃焼性試験は、1.6ミリメートル(mm)試験体で実施し、燃焼時間を秒(s)単位で記録し、そして評定を基準に従う。]
[0161] ]
权利要求:

請求項1
(i)40〜99質量部の、芳香族ポリカーボネートまたは芳香族ポリエステルカーボネート、(ii)0〜60質量部の、(ii.a)5〜95質量パーセントの1種以上のビニルモノマーの、(ii.b)95〜5質量パーセントのガラス転移温度(Tg)10℃未満の1種以上のグラフト骨格上のグラフトポリマー、(iii)0〜45質量部の少なくとも1種の熱可塑性ビニル(コ)ポリマー、(iv)0.5〜40質量部の、構造:(式中、aおよびbは各々0〜6であり、a+bは2〜6であり、各Rは独立に、水素、6個以下の炭素原子を有する非置換もしくは不活性に置換されたアルキル、−NO2、−NR12、−C≡N、OR1、−C(O)OR1、または−C(O)NR12(式中、R1はヒドロカルビルもしくは水素である)であり、各R2は独立に、水素、アルキルまたは不活性に置換されたアルキルであり、各R3は、共有結合または2価結合性基であり、そして各R4は独立に、アルキル、アリール、不活性に置換されたアルキルまたは不活性に置換されたアリール基である)で表される芳香族ポリホスホネート化合物、および(v)0〜3質量部のフッ素化ポリオレフィンを含む、耐発火性カーボネートポリマー組成物。
請求項2
芳香族ポリホスホネートが、構造:(式中、cは、1〜5であり、各Rは独立に、水素、6個以下の炭素原子を有する非置換もしくは不活性に置換されたアルキル、−NO2、−NR12、−C≡N、OR1、−C(O)OR1、または−C(O)NR12(式中、R1はヒドロカルビルもしくは水素である)であり、各R2は独立に、水素、アルキルまたは不活性に置換されたアルキルであり、そして各R3は、共有結合または2価結合性基である)で表される、請求項1に記載の耐発火性カーボネートポリマー組成物。
請求項3
各Rが、水素、または、4個以下の炭素原子を有する非置換アルキルであり;各R2が、水素であり;各R3が、隣接(R2)2C基に直接に結合している1つまたは複数の炭素原子上に水素を有さないアルキレンジラジカルであり;そしてcが、1〜3である、請求項2に記載の耐発火性カーボネートポリマー組成物。
請求項4
各Rが水素であり;各R2が水素であり;そして各R3がジメチルメチレン(プロピリデン)である、請求項3に記載の耐発火性カーボネートポリマー組成物。
請求項5
芳香族ポリホスホネートが、構造:で表される、請求項1に記載の耐発火性カーボネートポリマー組成物。
請求項6
芳香族ポリホスホネートが、構造:で表される、請求項1に記載の耐発火性カーボネートポリマー組成物。
請求項7
芳香族ポリホスホネートが、構造:で表される、請求項3に記載の耐発火性カーボネートポリマー組成物。
請求項8
芳香族ポリホスホネートが、構造:で表される、請求項3に記載の耐発火性カーボネートポリマー組成物。
請求項9
芳香族ポリホスホネートが、構造:で表される、請求項3に記載の耐発火性カーボネートポリマー組成物。
請求項10
芳香族ポリホスフェートが、構造:(式中、dは1〜5である)で表される、請求項1に記載の耐発火性カーボネートポリマー組成物。
請求項11
芳香族ポリホスフェートが、構造:で表される、請求項10に記載の耐発火性カーボネートポリマー組成物。
請求項12
成分(ii)が、約0.5〜約60質量部の量で存在する、請求項1に記載の耐発火性カーボネートポリマー組成物。
請求項13
成分(iii)が、約2〜25質量部の量で存在する、請求項1に記載の耐発火性カーボネートポリマー組成物。
請求項14
成分(iv)が、約1〜約20質量部の量で存在する、請求項1に記載の耐発火性カーボネートポリマー組成物。
請求項15
成分(v)が、約0.05〜3質量部の量で存在する、請求項1に記載の耐発火性カーボネートポリマー組成物。
請求項16
成分(ii):(iii)の質量比が、2:1〜1:4である、請求項1に記載の耐発火性カーボネートポリマー組成物。
請求項17
グラフトベース(ii.b)がジエンゴム、アクリレートゴム、シリコーンゴム、またはエチレン−プロピレンジエンゴムである、請求項1に記載の耐発火性カーボネートポリマー組成物。
請求項18
約1〜40質量部の、ガラス繊維、ガラスビーズ、マイカ、シリケート、石英、タルク、二酸化チタン、もしくは珪灰石の単独または組合せの1種以上を更に含む、請求項1に記載の耐発火性カーボネートポリマー組成物。
請求項19
耐発火性カーボネートポリマー組成物を製造する方法であって、(i)40〜99質量部の、芳香族ポリカーボネートまたは芳香族ポリエステルカーボネート、(ii)0〜60質量部の、(ii.a)5〜95質量パーセントの1種以上のビニルモノマーの、(ii.b)95〜5質量パーセントのガラス転移温度(Tg)10℃未満の1種以上のグラフト骨格上のグラフトポリマー、(iii)0〜45質量部の少なくとも1種の熱可塑性ビニル(コ)ポリマー、(iv)0.5〜40質量部の、構造:(式中、aおよびbは各々0〜6であり、a+bは2〜6であり、各Rは独立に、水素、6個以下の炭素原子を有する非置換もしくは不活性に置換されたアルキル、−NO2、−NR12、−C≡N、OR1、−C(O)OR1、または−C(O)NR12(式中、R1はヒドロカルビルもしくは水素である)であり、各R2は独立に、水素、アルキルまたは不活性に置換されたアルキルであり、各R3は、共有結合または2価結合性基であり、そして各R4は独立に、アルキル基、アリール基、不活性に置換されたアルキル基または不活性に置換されたアリール基である)で表される芳香族ポリホスホネート化合物、および(v)0〜3質量部のフッ素化ポリオレフィンを溶融コンパウンドするステップを含む、方法。
請求項20
請求項1に記載の耐発火性カーボネートポリマーを含む、形成物品。
請求項21
以下の製造プロセス:圧縮成形、射出成形、ガスアシスト射出成形、カレンダリング、真空成形、熱成形、押出しもしくはブロー成形の単独または組合せの1つ以上によって形成される、請求項20に記載の形成物品。
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